田舎のダメお嬢と呼ばれて

フリーライター/イベンター 地方公務員の両親のもとですくすく育ち、念願の上京。職を転々としていたダメ娘は三十路を過ぎ、「地域おこし」という夢を見つけた。★お仕事のご依頼はiwamuraakiko★gmail.com(★を@に変えて下さい)

【地域ルポ】15 (山梨県甲府市)いい街には、いいスナックがある

やはりここにしよう、と意を決してドアを開ける。

 

「あら、いらっしゃい」

 

白髪混じりの細身ママの向かいで、おじ様が気持ちよさそうに歌っていた。隣には華やかなおば様。

 

「ビール下さい」と私。

ハイボールできますか?」と友人。

 

「ママ、こんなに若い人が来たのなんて初めてじゃないの??」と歌い終えたおじ様が笑っている。

とりあえず、一安心だ。

 

仕事関連で知った「甲府ぐるめ横丁」。

一度どんな感じか見たくて、旅好きな友人を誘って甲府行きを決めた。

 

鴨と自然派ワイン→鹿と山梨ワインでふつふつと上がるテンション。

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締めはやっぱりスナックだろう!と盛り上がったはいいものの、女2人で行けるスナック選びはなかなかの難題。

 

寒空の下を結構歩いてしまった結果、ぐるめ横丁に戻って「サザン」というスナックに決めたのだった。

 

竹内まりや  「駅」

久保田早紀 「異邦人」

森高千里 「気分爽快」

石川ひとみ 「まちぶせ」

 

etc...

 

私達が歌う合間に、秋元順子や、木枯らし紋次郎が挟まる。

 

「ゲストハウスってなに?」に私達が答え、

「明日どこ行ったらいいですかねー?」に皆が情報をくれる。

 

恵林寺はキレイよ。

不老園の梅がちょうど見頃じゃない?

県立美術館にはミレーが置いてあるんだ。

身曾岐神社は歌手のゆずで有名よね?

車があれば、西湖が静かで俺は好きっす。

小作でほうとう食べて帰ってねぇ!

 

途中、常連の先生やデロ酔いしたおじ様二人組も参加して、カウンター満席。

閉店の12時を目の前にして店内は大盛り上がりだ。

 

恋人も濡れる街角」を気持ちよく歌い終えたおじ様にママが声をかけた。

 

「悩ましいねぇ〜」

 

なんて上品なリアクション!

声枯れてる系も良いけれど、サザンのママは、どことなく品が漂う系。

 

なんだか感動しながら、そろそろ行きますとお会計をお願いする。

 

すると、「もう?じゃこれ持って行って!」とママが手作りのサータアンダギーをくれた。

もらった袋がなぜかパリスヒルトンで、友人と爆笑。

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「山梨にこんな若い人が旅行に来てくれるなんて本当に嬉しい!楽しんでいって!」

 

常連のおじ様と固い握手を交わして、お店を後にしました。

 

いやー、アツイ夜だった。

 

「とりあえずミレーは観よう。それ以外は朝の気分で決めるで、いいよね?」

 

ゲストハウスへ戻り、そこだけ合わせて就寝。

さぁ、明日も楽しくなるぞ。

 

甲府ぐるめ横丁

http://www.kofu-food.com/

【小話】17 リボーンの意味合い

旅先で、せっかくだし参っておくか、と向かった神社。進むうちになんだか細い階段を上る羽目になり、そのまま受付っぽい所に出た。

 

「そちらに座って。それで、これからどうしましょう?」
机越しに、見知らぬ女性に聞かれる。

 

「ん?将来的にですか?」
怪訝な顔で答える私。

 

「ほら、あなた昨日亡くなってるから・・・」
「えっ?!私死んだんですか?!どうして?」
「ほら、地元で飲んでたら鈍器屋の娘さんと揉めて・・・」
「(鈍器屋・・・?)えー、そうなんですか・・・それで、両親は大丈夫?」
「ええ、なんとか大丈夫」
「それなら良かった。(いやー、しかし死んじゃったか・・・急だよー志半ばだよー)」

と言う夢を見た。

 

起きがけに早速ググると、自分が死ぬ夢は吉夢らしく、「新たな自分になる準備ができた」という意味らしい。

 

なーんだ♡とホクホクしながら顔を洗ってたら、とても久々に、左目だけ奥二重になっていた。

 

「生まれ変わるって、そこかーい。」
低ーく突っ込んだ朝でした。

【小話】16 スケジュールを立てるということ

イベント屋になったとき、初めて覚えたのは”スケジュールの立て方”だった。

 

本番日から逆算して、

小さいイベントで2~3か月、大きければ1年単位でたてていく。

 

リハ・仕込み日、最終打ち合わせ日、募集締切日、チラシ入稿日、台本&マニュアル完成日、各種打ち合わせ日・・・

 

初めは先輩方のスケジュールを見て、見よう見まねで作ったっけ。

 

「いやいや、このスケジュールじゃデザイナーさんきついよ」

「ここらへんで会場さんともすり合せとかないと」

「クライアントともう一回は会わないとだなー」

 

色々ダメ出しをしてもらって、やっとこさ完成させた自分のスケジュール。

それに沿って、私が初めて担当したのは官公庁関連のシンポジウムだった。

 

チラシってどうやって作るの?

新聞広告ってどう出すの?

台本・マニュアル自分で書いたことないよ。。

予算ないけど、業者さんとの交渉ってどうやるの?

 

小さな会社だったがゆえ、その状態で担当ディレクターになれるという奇跡、笑。

 

でもつべこべ言ってたってスケジュールは決まっているし、

否応なしに締切は来るし、

そもそもスケジュール自分で立ててるから余裕あるなしも理解してて、

そうしてるうちに苛立ったクライアントから電話が来たりする。

 

だから忙しそうな先輩にも必死で聞いて、google先生にも質問しまくって、がむしゃらに進めていった。

 

そしてどうにかこうにか本番日が終了した瞬間、会場のトイレに走り、安堵に泣いた。

 

 

その後、手伝いも入れると恐らく担当したのは20イベント程度。

 

全てのイベントにはそれぞれのスケジュールがあって、

時期重なって無理くり突破したり、ぽかっと空く瞬間があったり。

A3サイズに印刷したスケジュールとにらめっこしながら、色々調整したなぁと思いだす。

 

結局は発注ミスやクライアントからの直前提案などで崩れたりするのだけれど、スケジュールがあることの安心感と実行性を、じっくりと体感できた時間だった。

 

 

4月末に、宮崎に帰ることにした。

 まだ、家も、職も、決まっていない。

でも、スケジュールを立てれば物事は動く、ということを私は知っているし信じている。

 

♪我は自由に街かけまわり 親は実家で青くなる~

 

冬ソングに乗せてみたけど、あまりPOPになりませんでした。

色々と頑張ります。

【小話】15 『舟を編む』で昔やった実験

※数年前にやった文章モノマネ実験です。

 

(ベース)
昼過ぎに起きる。本を読みながらお風呂。『舟を編む』。洗濯したあと恵比寿へ。足裏の角質が気になって通ってるフットケア。この前マッサージのうまさにやられた担当者を初の指名。今日も素晴らしかった。

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(アイドルのblog 風)

今日は、起きたらお昼過ぎ(@_@)
ヤバーーイ!慌てて半身浴開始!この前お友達の○○ちゃんが置いてった本を読んでるんだけど、『舟を編む』ってみんな知ってる??

お洗濯してから、おうちを出発!
少し前から、恵比寿のフットケア屋さんに行ってまーす♪
目指せっっ!足下からキレイなオンナノコ♪

この前、すごーーーくマッサージが上手な担当さんで、
今日は、思わず指名しちゃった☆

○○さん、これからもよろしくお願いしまーーす(*^^*)

(写真:キメキメの2ショット) 

 

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(林真理子の小説風)

赤ワインの残る体を、どうにか起こす。もう1時だ。汗ばんだ体が気持ち悪い。
バスルームへ直行し、勢い良く蛇口を捻った。立ち上る蒸気から、男物の香水が少し香ってくる。

そうだ、夕方からフットケアだったっけ。

部屋に戻り時間をチェックする。
良かった。まだ時間がある。

読みかけていた『舟を編む』を手に取った。

しかし、主人公の馬締(まじめ)という男はなぜこんなにセクシーなのだろう?そればかり考えてしまう。

情熱を胸に秘めた粘着質なオトコ。
とても一途に、香具矢(かぐや)と辞書を愛するオトコ。

誰かにひとりに求められたい、なんて世間一般の女子が抱くような欲望、私の中にはないと思ってたのに。
「カッコ悪い・・・」
静かにつぶやいた。

※一部、フィクション含む

 

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(わたし風)

昼過ぎにのそのそっと起き、半身浴。
汗をダラダラ流すのは気持ちがいい。
本当は泣ける本が一番良いのだけれど、(それこそ、全部でたー!ってなるので)今日は『舟を編む』。

「すみません。相手にも、同等かそれ以上の真剣さを求めてしまうのが、俺の悪い癖です」

主人公、馬締(まじめ)の言葉にドキッとする。

恵比寿に移動し、ふわふわの手に感動した担当さんのマッサージを受けながらも、馬締の言葉を反芻する。

「そんなだったら、いつか周りも息が詰まるし、お前だってずっと辛いままだぞ。」
馬締の同僚が独白するシーンがあるのだけれど、泣きそうになった。

いつか私も、この暑苦しさを上手く扱える日が来るだろうか。
そしてその私は、新しい職場の仲間や未来の夫、子どもに愛されるだろうか・・・。

「お疲れさまでした~♪結構浮腫みがあるので、よくほぐしてあげてくださいね(^^)」

はい、と照れ笑いを浮かべながら、極上の時間とサヨナラ。

これからいろいろほぐして、いー女になれますように。

【小話】14 とある三十路のおとぎ話。

※2013年の大晦日に書いたものに加筆しています。

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むかしむかし、お正月が億劫だった肥満児がいました。

 

その子は毎年、山の上にある、おじいちゃん、おばあちゃんのお家で、お正月を迎えていました。

 

先生だったおじいちゃん、おばあちゃんは「先生になると?お医者さんになると?」と聞いて来たりします。

でもその度に、歌手や芸能人など、普通の子どもと同じ夢を持っていたその子は、戸惑ってしまうのです。

 

でも、そんな事は言いません。

なぜならその子は、自分にとても自信がなかったから。

 

その子には、イケメンと美人な従兄弟がいました。都会からやってくる彼らはとても眩しくて、なんだか自分が恥ずかしいなぁ、とその子はずっと感じていました。

 

"運動もできないしデブだけど、勉強はできる自分"を一年間作り上げ挑むのだけれど、思春期なんてほぼ外見のコンプレックスから構成されているのだから、克服できるはずもなかったのです。


そのうち、その子はかねてからの望み通り、東京へ出て行きました。


でも、恥ずかしさや悔しさは、むしろ東京の方が多かったかもしれません。

 

沢山の試練にもがいたり、新しく知った楽しさと戯れたりしながら、その子は東京を、そして自分を、だんだん楽しめるようになりました。


その子は、おじいちゃんが急死したことをきっかけに、最近は年に二回帰省することにしています。

 

結婚し、ビジュアルもキャラも大成功な子どもをもうけた従兄弟たち。その親たちやおばあちゃんからの圧力は年々激しさを増していきます。


でもその子は、もう自分を恥ずかしがりません。

 

色んな価値観があることを知り、自分が輝ける場所も知り、自分が好きになれたから。

 

そして、信頼する占い師に、32と34で出産だと言われているからです。

 

そんなことをまっすぐな目で言う娘に、その子のお母さんはドン引きしています。


おしまい