※2006年05月09日に書いた文章です。
カエルが世界で一番苦手だ。
雨の日に小学校に行く時、必ず道にうわ~っとカエルが出てきていた。
とても気をつけて歩くんだけど彼らは自由に跳ね回る。
ある日、馬鹿ガエルに足に跳びつかれて、幼い私は家の前で絶叫した。
それ以来、この世から絶滅すればいいのに、と本気で願っている。
2年前に、「世界青年の船」という事業に参加した。
1か月半かけて船で世界を船で周る、内閣府主催事業。
もともとピースボートに乗ろうと思っていて、その手始めとして参加。
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その年はシンガポール、インド、タンザニア、セイシェル諸島だった。
外国人2人との3人部屋で一人になれる場所はトイレのみ。
若干あいのりチックな雰囲気も帯びてて居心地悪い。
最年少の19歳で参加し、はちゃめちゃな日本人達も多く、
あと1週間で帰国という時にシンガポールに着いた際には
かなり疲れていた。
シンガポールは給油地だったから2度目の来航。
よし、東京にいたときのような時間を過ごそう。
「私一人でまわるわー」
グループメンバーに言い残し、一人で電車に乗った。
メインストリートに出て映画館を探し、とりあえず一番早い映画を観る。
同じショッピングモールで日本より2割ほど安いネイルカラー購入。
服もちょっと見る。
ちょっと気分がノってきて、自然と顔がほころぶ。
よし、あとはお洒落ランチを残すのみ。
意気込んで探すけれどもなかなかない。そのうち結構歩いて疲れてきた。
そんな中、白と黒を基調にしたお洒落クサイお店を発見。若者もいる。
間違いないな。迷わず入った。
メニューをもらう。
そして絶句。
frog●●, frog●●, frog●●・・・・・
カエル専門店だった。
でも、なんだかもう、疲れ果てお腹もすいていたし、今さら店を出る勇気もない。
平然を装いつつ一番辛くないカエル雑炊を注文し、
キャピキャピはしゃぐ若者軍団を尻目に、
運ばれてきたスープ皿の中を覗き込む。
甘辛ソースにまみれて白いお肉が見える。
あぁ、カエルの足だ。
1本、2本、3本・・・・なるほど、1匹分ね。
これが、シンガポール流お洒落ランチなんじゃい。
覚悟を決めて一口食べると、普通においしかった。でもカエル。
次はご飯に絡めてみる。うん、おいしい。でもカエル。
全部食べ切り、店を出た。
なんだか、気持ち悪いような、すがすがしいような、変な気分。
お会計のときに貰ったポイントカードを握り締めながら、
また一人、電車で港へ戻った。
その日から横浜帰港までの1週間、
私にはfrog girlというあだ名がつけられた。