ーミレーはこの時期、生活のために肖像画を多く手がけた。この絵のモデルとなったのは〇〇。ミレーの最初の妻である。もともと体の弱かった彼女は22歳で他界した。その時ミレーは29歳。子どもはなかった。
ゲストハウスの方が親切にも送ってくれて、10時過ぎに着いた山梨県立美術館。
(敷地内から見えた富士山)
常設で置いてあるミレーの1枚目から、キャプションに心を持っていかれている。
なんだ、このキャプション・・・なんか、どうしても読んじゃう。
ー この時代は女性も男性と同様に労働していた。健やかに育っている子どもや荷馬車にうず高く積まれた牧草などからも、豊かさを感じる一枚である。
ー女性達が川の水を使って洗濯をしている。洗濯は話に花を咲かせる時間でもあった。ただ、この絵の中では無口に洗っているようだ。
当時の情景が浮かぶし、たまに自分の視点も入れてくる感じ。
なにこれ、好きだわ〜
ミレーは、パリから60km離れたバルビゾン村という所に移住して名作を残したんだそう。
東京から60kmと言うと、神奈川県秦野市、群馬県館林市、千葉県茂原市・・・なかなかの地域である。
そんな村に当時、イケてる芸術家が集まって生活しながら絵を描いていたらしい。ステキ。
有名な「種をまく人」も本物を鑑賞。
スゴイ迫力だった。
ザクッザクッ。畑を踏みしめて歩く音が聞こえるよう。
やっぱり教科書とは違うわー。
ーサロンに発表した際は、人々が抱く農民のイメージと違いすぎて批判も受けた。反体制派の象徴とされたのである。
キャプションにも熱が入る。(いや、これは単に私が反体制派という響きが好きなだけかも)
絵→キャプション→絵のサンドでじーっくり観て回ったら、12時前になっていた。
「なんか、本気で観たら疲れたね。笑」
同じく集中してみちゃった~と言う友人とともに館内ベンチに座り、しばし休憩する。
しかし、こんなにしっかりと絵を観たのは、初めてかもしれない。
ミレーのバルビゾン村での生活や、奥様遍歴(2人目は”眠れるお針子”という絵でモデルとなっていた。9人の子を産んだというだけあって福福しい体とオーラ。細く美しい1人目との対比に、勝手に思いを馳せてみたり。)を考えながらの絵画鑑賞。
なんだか、とても楽しかった。
それを可能にしたのは、あの魅力的なキャプションである。
「すみません・・・あの・・・ミレーのキャプションはどなたが書いているのでしょうか?」
思わず、インフォメーションで聞いてしまった。
完全に不思議そうなお姉さんは、しかし丁寧に内線で確認してくださって、
「本日はお休みを頂いておりますが、学芸員のコサカイという者かと思います。古い作品ですと、その前の学芸員のものも交じっているかと思いますが」
と答えてくれた。
「すごく面白かったですと、お伝えください」
不思議な三十路女が感動を伝えて帰ったよ、とコサカイさんに伝わるだろうか。
ちなみに、特別展でやっていた野口小蘋展は、まさかの撮影OK。
大好きな顔ハメパネルまで作ってあった。
この美術館、どこまで楽しませれば気が済むのよーー!
■ 山梨県立美術館
「富士見の窓」やらもあり、建築的にも面白い。
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/#
■BACCHUS KOFU GUESTHOUSE
サザンから歩いて10分!タオル付いてて、薪ストーブも人も温かい♡