ワンマン電車の揺れにうつらうつらしつつ、
郡上八幡(ぐじょうはちまん)駅に到着。
なんとレトロな・・・よし、お昼は和だな。
だいぶお腹が減っていたので、結構序盤で店を決めた。郷土料理!と謳っているし、間違いないだろう。
「いらっしゃいませ」
一瞬、暗闇すぎて何も見えない。
はっ・・・
「おひとりさまですね?どうぞーそのまま進んでください」
進んでください・・・?
よく見ると石畳?の路地が屋内に続いている。
お姉さんのしっかりした接客がアンバランスに響くくなか、角を曲がるとやっと明かりが見えた。
じとっとした空気。
カラカラと響くお姉さんの下駄の音。
こ、怖い・・・
でもやめます、とは言えないしそのままついて行く。
「お好きなお席にどうぞー」
ひー!お好きな席なんてないよぉー!
「じゃ、ここで・・・」
メニューを開くと、やけに高い。
怖い。もう、全部が、怖い。
「この、そば料理と言うのは・・・?」
「そば粉を使った様々な料理です〜。皆さん、珍しいって喜んで頂けますよ」
「はぁ、じゃ、それで・・・」
「かしこまりました。少々お待ちくださいねぇ」
カタン、と扉式の襖がしまると、異様な静けさが訪れた。
囲炉裏のある二部屋の間に、長机が4つ置かれた部屋が一つ。
そこにひとり座る、私。
来る時は半袖くらい暑かったのに、この部屋、異常にヒンヤリしてる。
寒いって、怖いよ。
てか怖いから余計、寒いよ。
ピチャピチャ・・・・
へ?何かの音・・・?
ピチャピチャ・・・
嘘でしょ、水音・・・?
「お待たせしましたぁ。」
絶妙なタイミングでお姉さん登場。
「こちら、蕎麦湯はお好みで塩を振りながら召し上がってください。そばがきと、こちらにかかってるのは酢味噌です。」
意外とちゃんとしてる。
「ごゆっくりどうぞ〜」
カタン、としまる襖。
と共に現れる静けさ。
とりあえず温かいものを、と蕎麦湯を一口飲んでみる。
あ、美味しい。
ピチャピチャ・・・
ハイハイ、水音ね。先ほども聞きましたから、平気ですわよ私。
ピチャピチャ・・・
料理も珍しいし美味しくて、段々慣れてくる。
キュー・・・・
ん?
キュー・・・
べ、別のタイプの音・・・?
「お待たせしましたぁ。」
またまた絶妙なタイミングで現れるお姉さん。
「こちらがおろし蕎麦ですねー。味はついてるので、そのまま召し上がってください」
またまたちゃんとしてる。
が、イヤそれどころではなく、ここ、変な音しませんか、お姉さん。。。
その時だった。
キュー・・・
はっ!お姉さん、この音ですよ!この音!聞こえましたよね?!
ハッ!と反応する私に気づき、お姉さんが口を開いた。
「あら、ポットが鳴ってますね、笑」
ポットかーーーーい!
そう言われてみれば、机にまだらにおいてあるポットの方向からキュー音が鳴っている。
「こちらがデザートで、以上になります〜。ごゆっくりどうぞ^_^」
その後、ピチャピチャ、キューキューに囲まれながら食べきり、そそくさとお店を後にしました。
散策して初めて知ったのだけれど、郡上八幡は"水のまち "だったようで。
ピチャピチャも、水路の音だった。
街を散策しながら、水辺ってやっぱりいいな、とすっかり気に入って街を後にしましたとさ。
おしまい、おしまい。