「カメラお好きなんですか?」
朝から湯豆腐もあるがなー!フー!と喜んでいたら、隣のテーブルの上品なおば様に話しかけられた。
「はい、そうなんです。」
「昨日も今日もええ天気で良かったですねぇ。」
「はい、本当に。観光ですか?」
「私は修業をしてて、日帰りで帰れるんやけどここに一度泊まってみたいなぁ思ててね。そしたら一部屋だけあいとったの。」
「えー!すごいですねぇ」
九州から来ましたに、へー、嬉しいわぁ!なんて言われながら和やかにすすむ時間。お味噌汁でもすすりながら聞こうかしら?と手に取ると、「あ、じゃあどうぞ」と朝食を楽しんでね顔で会話が終わった。
なるほど、これも本来は修業ですものね。
昨夜8時くらいに寝たのに、部屋が快適すぎて朝のお勤めに行けなかった私には、もったいない対応だ。
「ごちそうさまでした。」
隣で彼女の声がした。出発ならご挨拶をせねばと目をやると、彼女はすでに私のテーブルの近くまできていて、
「喋らせてもろてありがとうございました。どうぞ、よい旅を。」
と深々とお辞儀をして出て行った。
なんて素敵なんだ。
高野山もそうだったけど、こういう、気持ちの良い人たちと出会える感じもまた、魅力なのですよね。