田舎のダメお嬢と呼ばれて

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小話161 大人になると読書が楽しくなる理由

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最近、エッセイや小説を読むときに、話の中にポーンと放り込まれる感覚が昔の比じゃない。これってどうして?を文章化してみる。
 
まずは風景。宮崎にUターンしてからというもの、野性の鹿や猿、雄大な山々や海を見る機会が増えたので、自然描写には速攻で入っていける。また東京も長かったので、例えば目黒の街角や、満員電車のけだるさと言われてもすぐ浮かぶし、旅行もしてるから、ロンドンの石畳みを進む音とか、インド人の真っ直ぐな眼差しなんかもすっと入ってくる訳だ。
 
気持ちの面でもそう。仕事での挫折や裏切り、失恋や不倫の苦しさも一通り経験したし、チームで仕事を成し遂げる達成感や、憧れの人と思いが通じ合う喜びなんかも実感を伴って理解できる。そうすると、登場人物の心理描写の刺さり方が子どもの頃とは明らかに違うのだ
 
私の読書スタイルが感情移入系だという事もあると思うが、読書って自身の経験値が問われるのかもしれない。自分の中にシンクロできる事柄が多いほど、より入り込めるんじゃないか説。
 
あとは、話を映像として観せてくれる「映画」を観てきた事も大きいだろう。特に白黒映画を観始めてから、明らかに昔の小説が読み易くなった。今読んでる『破戒』島崎藤村がすんなり入ってくるのは、自分の中に、当時の家の感じとか貧しさを「画(え)」として持っているからだろうと思う。
 
ということは、歳を重ねれば更に読書が面白くなるのだろうか。
 
楽しみだなぁ。