田舎のダメお嬢と呼ばれて

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小話172 ダンスの相方がもたらした、初めてのブレイクスルー

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私が「悩みを他人に開け渡す」の成功体験をしたのは、20代前半のダンサー時代である。
 
同い年の相方と二人でチームを組み、都内や埼玉などのクラブに出演していたのだが、練習はいつも東高円寺のスタジオ深夜枠を借りていた。22時〜6時くらいで数千円。冷暖房も照明も音響もあるから路上でやるよりも効率良いし、何より警備員がいないから怒られない。
 
相方が音を選び、知り合いのDJと3人で夜通しで3〜4曲を繋ぎ、できた音源を持ち帰って振りを作り、練習日に各自の振りを持ち寄る。しかしスタジオ練習日までに全然振りができてないこともあって、その場で作ることも多かった。
 
私は自分の割り振り分は自分が作らなきゃ!と思い込んでいたのだが、とある深夜、煮詰まった私が「ここの先がさ〜全然浮かばないんだよね…」と弱音を漏らしたら、「こんなのは?」と相方がさらっと動いてみせたのだ。そしてそれがめちゃくちゃ良くて、即採用となった。深夜のテンションだったこともあるし、どんな振りだったかなんて全く覚えていないのだが、あれは本当に衝撃だった。そっか!ひとりで考えるよりも相談した方がヤバイ振りができることがあるのか…!!
 
それ以降、二人で作る振りが増えた。それによってショーケース全体のまとまりが生まれた気もするし、二人で作っているという意識が上がって全体レベルも上がったと思う。結局プロのレベルまではいけなかったけど。
 
カチカチだった私の思考に、他者によってブレイクスルーがもたらされた瞬間の感動。
 
今でもふとした時に思い出す、大切な思い出である。