田舎のダメお嬢と呼ばれて

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小話135 高峰秀子を教えてくれたオジサマの話

私が一番好きなのは高峰秀子の文章なのだが、彼女の事を教えてくれたのは、24歳の時に出会ったとある物書きオジサマだった。

 

彼がプレゼントしてくれたのは『わたしの渡世日記』。ずいぶん古臭い装丁だなぁ…としばらく放置した後、読み始めた途端にハマった。高峰秀子の活躍の影にあった、非情な養母やお金にたかる親戚との争い。戦時中のエピソード。日本を飛び出してパリ留学した時の話もこの本だっただろうか。全て彼女自身の話なのに、どこか冷めた視点で、しかし活き活きと描かれる文章に心から痺れた。

 

そこから、彼女が出ている映画も観るようになり、小津安二郎木下恵介成瀬巳喜男を知った。当時はよく分からなかったけれど、白黒映画を観てる自分に酔ってた感じだろうか。それでも『流れる』は好きで何度も観た。

 

あれから12年。最近また映画を観返しているのだが、写真を始めた事もあって、その構図の気持ちよさにやられている。人の被り方や、障子や七輪の場所、俳優がシルエットで泣くシーンなど、全てがポストカードに出来そうな完成度。そしてそこで淡々と演技する高峰秀子。スゴイよー!こんな美意識の中にいて、彼女の美意識がより磨かれるのは必然だっただろうと思う(彼女のセンスの良さは『瓶の中』という本に凝縮されています)。

 

と、高峰秀子愛を語ってきたが、この話でのポイントは、物書きオジサマの存在である。自分が50過ぎのオバサマになった時に、20代の若造に遠慮する事なく、オススメをプレゼントできる強引さを持てるだろうか。良いものは良い。しかしそこを繋ぐ人がいなければ、永遠に出会う事はないだろう。

 

もう名前も忘れてしまった彼に感謝しつつ、私も、あくまで粋に、しかし少々お節介なオバサマを目指そうと思うのだった。

 

 

 

 

…と終わろうとして、イヤイヤもうお節介オバサマまっしぐらかもと自分で気づく。「はい、本ハラ~(本ハラスメント)」と言いつつ、読み終わった本を後輩に渡すことは日常的にやっていました。大変失礼しました。

小話134 「与えられたお題にちゃんと取り組む」ということ

youtubeやyahooのコメント欄が盛り上がるのって、「お題を与えられないと喋れない人」が一定数いるからでは?と今朝、佐藤健(話し方に品があって好き)のyahoo記事を読んで思った。

 

それが悪いと言っているんじゃなくて、そのお題に対しちゃんと取り組んでいるのならいいのだ。その記事ではしっかり事実訂正をしているファンがいたりして面白かった。しかし、「これだからマスゴミは!」みたいなとてもつまらないコメントを残している人たちは、お題に対してちゃんと取り組んでいないように思う。コンテンツの作り手(この場合はライター)に対して、きちんとあなたのコンテンツをぶつけようよ。それが受け手としての品てモンじゃないかい?

 

たぶん、最近感じているのはここの違和感なのだろうと思う。自粛生活に入って発信する人が増えた気がするけれど、自分でお題を見つけていない人も増えた。もし与えられたお題で勝負するなら、もう少しきっちり取り組もう。その方がきっと面白くなるし、それが受け手としての品てモンじゃないかい?(2回目)。

 

ということで、与えられたお題に対し「怒りの言語化」というきっちりしたコンテンツに昇華させたnoteを見つけたので貼ります。素敵。

note.com

小話133 バイリンガールちかさんの炎上に思う

英会話やライフスタイル動画あげてるYouTuberのバイリンガールちかさんが、コロナ禍の最中にマレーシアから帰国するってので炎上してる。たまに観ていたチャンネルだし時間もあるのでコメント欄をしっかり読んだのですが、非常に興味深かったです。

 

1.ファン心理ふしぎー!
そもそも無料コンテンツを消費してるだけの受け手がそんな怒れるのはナゼ??「ガッカリしました…登録解除します」とわざわざコメントする心理ってなに??とまずはハテナがいっぱいに。みんな結構長文で色々と書いてるので読み応えはあります。が、その心理は理解できず。

 

2.ストレス溜めてるのは分かるけど…
コロナ禍によってまた露呈しつつある、このムラ(日本)の下品さも露呈しています。"あなたが心配だから”"みんな我慢してるのに”というキラーフレーズをブンブン振り回しつつコメントする方々。みんな前のコメント読んだ上でコメントするからテンション上がっちゃって「初めてコメントします」なんていう新参者まで現れてる(なんでやねん!笑)。ストレス溜まってるのは分かるけど、そりゃ他人のコメント欄じゃなく自分で処理すべきモノでは……

 

3.どんなフォロワーが付くか問題
このチャンネルはきっと「憧れ」で観てる人が多かったから、愛憎になっちゃったんだろうなぁと思う。私も、このレベルの英語話したいな〜子どもも可愛いなぁ〜と観てたもの。もしもこれがフワちゃんだったら、みんな友達感覚で観てるから、ミスに対しても「幻滅しました」な思考にはならなかったんじゃないだろうか。あと、バイリンガールさんの弁明動画がまた火に油を注いでるのですが、その気の強さや思考がなければ過去の動画も作れなかった訳だし、人間臭くていいじゃない!と個人的には思っています。が、どう受け取るかはフォロワーの問題だものね。

 

以上、作り手と受け手の分別の消滅、コロナ禍におけるムラ社会の闇、非常時におけるヒトの許容範囲の問題など、色々考えることのできる興味深い炎上でした。

 

でも、これによってバイリンガールちかさんの動画の価値が下がるワケじゃない。本当にピカイチの空気を作りつつインタビューをやり切っているウィル・スミスとの動画を貼って終わりたいと思います。私もはよこのレベルに英語を持っていって、次はモンゴル語やるぞー!

 

youtu.be

小話132 #StayHomeしてたら目の前の中学校で

家の目の前が中学校なんだけれど、コロナ対策なのか校庭で集会をやっていた。学年主任とやらの死ぬほどつまらないスピーチのあと「分かりましたかー?返事が聞こえません」「ハイ」と返事をさせられてる生徒たち。心から同情しつつ、まぁ社会に出るとこういう大人多いし、これこそ免疫力つけとくに越したことないからなぁ〜と思ってみたり。でも学校が社会の縮図なのだとしたら「つまらない大人」と同数の「オモロイ大人」も配置した方が良いし、さらには学校以外で学ぶ権利も認めたら良いと思うんだよなぁ〜そこが日本教育の未熟なとこよね〜うちの子達にはくれぐれもそこらをきっちり伝えておかなきゃ……あ、子どもいなかった。

#フライングママ

小話131 死は敵なのか?

身近な人の死を経験したり、ミニマリストに目覚めたりしてから、ごくごく自然に「今もし死んだら?」を考えるようになった。所有物はできるだけ少なく暮らしてるし、ポエム帳は捨てたし、SNSやブログは残ってもいい文章にしてるつもりだし、子ども居ないし、あとやりたい事はやってる……ウン、大丈夫いつでも死ねる!みたいな。このチェックは割と効くと思っていて、いつでも死ねるって事は、今をちゃんと生きてる的な事なのであります。だから今私が #StayHome するのは自分のためと言うよりも、できたらまだ死んで欲しくない祖父母や父母のため。でもそもそも、死を敵や悲劇だとは捉えていないので、みんな何にそんなに怯えてるんだろう?と不思議に思っていたりもします。

 

そんな死生観こちらにも書いてます↓

iwamuraakiko.hatenablog.com