田舎のダメお嬢と呼ばれて

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小話192 私が「低音シンガー」を好む理由

0代前半、ダンサーを目指して活動していた頃、小さな音楽事務所所属のシンガーのコーラスとしても活動していた。ダンスと同じくらい、歌も好きだったからだ。mixiで見つけた「コーラス募集」に応募して、シンガーが集めてきたギターやベースの方々と一緒に、渋谷のノアスタジオなどでリハを重ねた。事務所主催のライブは、九段下、新橋、渋谷のライブハウスやカフェで。1人あたり3〜4曲が定番で、リハを終えて本番までは、事務所社長や他のシンガー、バンドメンバーも一緒に時間を潰すことが多かった。そんなある日、社長が何気なく「アッコちゃんの低音は売り物になるかもねー」と言ったことがあった。当時は尖りMAXだったので、「え…じゃ高音はダメってこと?」と思ってしまったのだが、もちろん嬉しくもあり、よく覚えている。ハモれて、軽く振り付けもできて、集客もする奴ってのは使い勝手が良かったのか、1年半ほど経ったあと「次からはギャラありでお願いしたい」とオファーされたのだが、その時ちょうど25歳。ダンサーを諦めて就職するリミットとして設定していた年齢だったので、ダンスもコーラスもきっぱり辞めて、事務所メンバーともそれきりとなったのだった。
 
あれから12年。
 
一人カラオケに飽きた私はいま、「モノマネ」に挑戦している。
 
低音響かせ系シンガーが多くなるのは、あの日の社長の言葉の名残だろう。
 
「やっぱり嬉しかったんじゃん私〜w」と、時々自分にツッコんでいる。